会員・医療関係者の皆さまへ

理事長挨拶

大分大学医学部消化器内科学講座 教授  村上和成

村上和成理事長

このたび、2021年(令和3年)7月から日本ヘリコバクター学会理事長を拝命しました大分大学医学部消化器内科学講座教授の村上和成です。理事長就任を大変光栄に存じ、重責に身の引き締まる思いであります。ご推挙いただいた学会役員の先生方をはじめ関係各位の方々にこの場を借りて深謝申し上げます。本学会の維持・発展のため、役員並びに会員の方々および本学会に関連するみなさまのご協力を仰ぎながらまい進する覚悟であります。どうぞよろしくお願い申し上げます。

日本ヘリコバクター学会は1995年に発足した日本ヘリコバクター研究会から始まります。私の入会は1995年4月15日であり、学会(研究会)発足と同時に入会しています。1998年には研究会から学会(第4回)に移行しました。私は1999年4月 に評議員(のちに代議員)就任、2014年6月に理事に就任しました。2018年6月には第24回学術集会会長を務め、大分の地に多くの先生に来ていただきました。2019年6月からは副理事長に就任し、前理事長の加藤元嗣先生のサポートを行って参りました。

これまでの委員会活動を調べてみますと、生涯教育部会、研究推進委員会、総務委員会、国際委員会、ガイドライン作成委員会、耐性菌サーベイランス委員会、定款等委員会、胃癌リスク評価に資する抗体法適正化委員会、役員等選考委員会、血清ペプシノゲン値標準化委員会、と多くの委員会に携わることができました。このような学会活動を通じて、私は素晴らしい経験をさせていただきました。まさに私を育ててくれた学会です。

さて、本学会の会員数は約2800名です。ピロリ菌の現感染者は減少の一途であり、日本ヘリコバクター学会の役割は終わりが近づいている、という意見もあります。しかし、除菌後症例は今後数十年間増加していくことが予想され、見つけにくいとされる除菌後胃がんの問題点は続いていきます。ここにはAIを含むさまざまな内視鏡技術や除菌後発がんの基礎的研究が絡んできます。何よりも、除菌後症例で胃がん死することは絶対に避けねばならないことであり、今後の内視鏡フォローの重要性の議論は続いていきます。さらには、若年者のピロリ菌陽性率は約5%で、未感染者の増加は顕著になります。特徴のある未感染胃がんの基礎的・臨床的研究はピロリ陽性がんとの比較も含めて、現在盛んにおこなわれています。今後、小児除菌、学校検診は全国規模で拡大していき、ひいては胃がん撲滅へと続いていきます。以上のように、胃がんとの関連だけを見ても今後のヘリコバクター学会の果たす役割は大変大きいと考えます。その他、腸内細菌との関連、NHPH(Non Helicobacter pylori Helicobacter)、薬剤耐性など、今後の臨床や研究の発展分野がまだまだ多くあると考えています。現在、胃癌学会とは合同セッションの形で共同事業を行っています。今後、消化器がん検診学会やマイクロバイオータ関連集会との共同事業も模索していくつもりです。ヨーロッパや韓国のヘリコバクター集会の動きも参考にしながら進めていきたいと思います。

次に、国際化の推進についてです。日本のピロリ菌感染率は低下していますが、東南アジア、中国、インドなど、まだまだ現感染率が高く、人口も多い国々はたくさんあります。これらの国との共同事業や学会を通じた共同研究が重要と考えます。感染の現状把握から入り、除菌率や耐性菌や菌株の研究など、本学会は指導的立場をとれると思います。今の時代はWebでのリモート参加などが可能であり、利用し進めていければよいと考えています。

私を育ててくれた日本ヘリコバクター学会に今回恩返しできるチャンスをいただきました。微力ながら全力で取り組んでいきたいと思っています。みなさまのご指導・ご協力をよろしくお願い申し上げます。

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