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最終更新日 : 20/01/07

日本ヘリコバクター学会について

理事長挨拶

独立行政法人国立病院機構 函館病院院長
加藤元嗣

加藤元嗣理事長

令和元年6月から日本ヘリコバクター学会理事長を拝命しました国立病院機構函館病院院長の加藤元嗣です.理事長としての責任を重く感じており,本学会の発展のため精進する覚悟でおります.本学会のために会員や本学会に関わる皆様のご協力を宜しくお願い申し上げます.本学会は1995年に発足した日本ヘリコバクター研究会から始まります.1995年4月に第1回日本ヘリコバクター研究会が,オウム真理教の報復テロが噂され,厳戒体制の霞ヶ関で開催されました.1998年には研究会から学会に移行したため,学会となって初めての第4回日本ヘリコバクター学会学術集会が,同年6月に札幌で開催されました.令和元年は,第25回の学術集会が名古屋で盛会に終了しましたが,本学会が誕生して四半世紀を迎えたことになります.

私は学会発足と同時に会員となり,1999年からは評議員,2008年から幹事,2011年から監事,2015年から理事として,また2017年の函館で開催された第23回学術集会では大会会長として学会運営に深く携わってきました.この間,わが国のH. pyloriに関する基礎研究と臨床研究から除菌治療が持つ胃癌予防効果が明らかとなり,本学会ガイドライン2009では除菌適応をH. pylori感染症と定め,2013年には世界で初めてH. pylori感染胃炎に対する除菌治療の保険適用拡大につながりました.世界的に特異な胃癌多発国であるわが国に,胃癌の一次予防の道が開けたことになりました.これまで本学会はわが国のH. pylori研究や保険行政に重要な役割を果たしてきましたが,今後はH. pylori除菌を中心とした胃癌予防対策を推進して,わが国の胃癌発症数および死亡数の激減を目指していく使命があります.

H. pyloriは幼少時に感染して,生涯にわたって感染が持続します.その間にH. pylori感染胃炎は炎症に伴う形態学的変化だけではなく,胃酸分泌能など胃機能の面にも影響を与え,胃内環境を変化させます.そのような慢性胃炎を背景として,胃・十二指腸潰瘍,胃癌,胃MALTリンパ腫,胃過形成性ポリープなどの様々な上部消化管疾患が発症してきます.除菌治療によってH. pylori関連疾患の発症や再発を予防できますが,胃癌については除菌後にも胃癌リスクが持続することも明らかになりました.除菌治療によって確実性の高い胃癌予防を行うために,本学会ガイドラインでは青少年(中学生を含む)への介入が提言されています.胃癌の発症予防に加えて,次世代への感染予防につなげることもできるからです.無症状であってもH. pylori感染を有する小児では胃炎を発症しており,持続感染によって小児期の胃炎が成人になってからの胃癌発症に結びつきます.早い時期での除菌が胃癌予防に有効であるとのエビデンスは多く存在しており,胃炎が進展してからの除菌では除菌後胃癌の発症を防ぐことができないので,青少年期に除菌治療を受けて胃炎を治すことが重要です.そのためには小児への除菌適応拡大や学校保健安全法改定によるH. pylori検診の導入が必要です.また,成人での除菌治療の拡大には,妊婦検診におけるH. pylori検診,胃癌検診におけるH. pylori感染のチェックと除菌の推進,各自治体や保健所におけるH. pylori検査,職場健診におけるH. pylori検査の導入などの対策が必要です.H. pylori感染陽性者には確実な除菌治療の施行と,除菌成功後には胃炎の程度に応じた定期的な内視鏡スクリーニングが重要になります.これらの胃癌予防の実現を目指すべく,会員の皆様のご協力をお願い申し上げます.


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